【翻訳】「序」(ステンボック伯)

序(詩集『愛、眠り、梦』「エロメノスへ、或は喪れた愛に就ての痛歎の十年紀」より)

ステンボック伯゠著

 

わたしはりつけれた愛の幻をました――

くぎうたれたあし、釘たれた雙手して心を、

予は貫かれた愛のかたはらました、

予はきずついた愛のこころたのです、

血と薔薇とは其処そこながれ――

予の心を疵けしきみが愛を、予がを。

汝やん 霑然しとどあふる予が血のしずく

臨終いまわ したたり果つる性命いのちの滴の尽きうる焉――

さはさはれ薔薇と成一じよういつする予が血汐――

さもこそは予が哥哭うたならぬなら、

の薔薇むらを予が墓辺はかへとえられんことを。

 

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原タイトル:Prelude(Love, Sleep & Dreams)

原著者:Eric Stenbock

Love, Sleep & Dreams (1881)所載