2023-01-01から1年間の記事一覧

無題二首

薄墨に 描かれし鯉 月に雲 雨の下る夜に ささめき立つキミ 死にどころ なく歩きけり と云う夜に 鬼の住む城へ 連れ立てぬキミ

舌上快楽

汝きみの名を称よぶヿことの 最いとも甘やかなる憙よろこびよ 幾たびも口中に転がし味賞する 汝の名の馥郁たる香味 不意に竈神の息差し 愛あわれなる独り居に夜

操觚と視霊

干(かわ)いた浴室に白の咒文(じゆもん) 紋章術の教書にぞ覚(し)る ぬばたまの朝の街 ひとの死の甘美 紫色の美貌(かお) 霑(ぬ)れた鐘の鳴り響き 滅(き)えて徃(ゆ)く新しい日(ひび) たくさんのオシリス達 たくさんのイシュマエル達