2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

雨がゆっくりと下る日

夜半よわの窓外に打鍵する 惛くらく大きな像すがたが双ふたつ 雨がゆっくりと下ふる日には 唯ただ淋しさだけが徉さまようと云うのに 街の燈の瞬き 厶わたしの苦しみ

無題二首

薄墨に 描かれし鯉 月に雲 雨の下る夜に ささめき立つキミ 死にどころ なく歩きけり と云う夜に 鬼の住む城へ 連れ立てぬキミ

舌上快楽

汝きみの名を称よぶヿことの 最いとも甘やかなる憙よろこびよ 幾たびも口中に転がし味賞する 汝の名の馥郁たる香味 不意に竈神の息差し 愛あわれなる独り居に夜

操觚と視霊

干(かわ)いた浴室に白の咒文(じゆもん) 紋章術の教書にぞ覚(し)る ぬばたまの朝の街 ひとの死の甘美 紫色の美貌(かお) 霑(ぬ)れた鐘の鳴り響き 滅(き)えて徃(ゆ)く新しい日(ひび) たくさんのオシリス達 たくさんのイシュマエル達