短歌

  薄氷(5首)

水深もほとんど零にほど近き行潦にわたづみきみゆきげ月

きみうかぶにふさう小さ膜うち破る日のうら悲しけむ

水銀のごとき円盤けり豫言者どものはしまどしき

ひいときもやがては喪に服しと残酷のおもかげは窓

円環をめぐる言葉の迷宮にわれ伝霊神プシュコポンポス

  雑詠

處女おとめのこもゆきげ月 りゆく凍蝶のての黒