短歌

  或る日の朝(5首)

ほとおりの凍れる朝の淋しさのほむらのごときマフラーを巻く

くちなわのあが古里の坍を這いくねるひはひでいつわれるひと

磨きつつ何をばえるバールーフ・デ・スピノーザの碧きあさ寒

もなしに透度ゆたけし脳髄は硝子の函――の孕める卵

路地裏に椿のえまうこよなさに賓客まれびとのあとう時は