4月に読んだ本

・遠藤功:ガリガリ君の秘密―赤城乳業・躍進を支える「言える化」(日経ビジネス人文庫).日本経済新聞出版社,2019.・木村敏:異常の構造(講談社現代新書).講談社,1973.・安藤百福:私の履歴書―魔法のラーメン発明物語(日経ビジネス人文庫).日本…

自精

無何有自より精の、 有漏、有漏、有漏。 イェイツみたいな夜。 空は曇り精の、 烏有、烏有、烏有。 フロイトみたいな夜。 陽燃館は欺瞞の尖塔。 尋香城は錯認の糞壤。 紮しばられて、 生まれて来る朝。

双めきと夜窓―囲世界燈試論

汝きみが寐貌ねがおの淪しずみ徃ゆく 月なも惛くらき夜の底方そこい 爛焉らんえんたる咮くちばしに啄ついばまれ 赩あかき燄ほのおの滲むらむ 猥雑なる小部屋に胞え乱れ 慈雨降り頻しく書や書の灰や 悲あわれなる傾眠の掌てへ置かれ伏し 歍ああ…… 御盞みけに…

私達の羊へと還ろう

淋しげな為人キャラクターと彳ゆきつ亍もどりつし 私達の歩調をなも狂わせる点滅ガス・ライティング 両ふたつの窓にさえ眩惑の微瀾へと 恠誕あやめき立つ汝キミは 佯さまよえる 噫ああ 朒ししと羽搏く曐ほしの羣むれに 旋回を歇やめぬ引蛾なりし明滅よ 唯た…

掌上の湖水より

掌上の湖水より 湧きて立つ遍あらゆる懈怠たち 郷土なき返照に向け 悲あわれ昏くらく滲透していく 錆色の水滴と汝きみの开その索漠は 落魄した神秘に映る 剰え竈へ焌くべる ものの无なき 明るみの虚妄春三月

跨線橋の上で

悪無限 静寂への責務は 闇黒の おびただしい疵きずとして 尾燈テールランプの冥くらさ斗ばかりが 余わたしたちに 在り尽くせ 黒い土 夜は既もう退のいた 淋しさだけが 独りなも歩き徃ゆく 佛佛ほのぼのと見知らぬ街

雨がゆっくりと下る日

夜半よわの窓外に打鍵する 惛くらく大きな像すがたが双ふたつ 雨がゆっくりと下ふる日には 唯ただ淋しさだけが徉さまようと云うのに 街の燈の瞬き 厶わたしの苦しみ

無題二首

薄墨に 描かれし鯉 月に雲 雨の下る夜に ささめき立つキミ 死にどころ なく歩きけり と云う夜に 鬼の住む城へ 連れ立てぬキミ

舌上快楽

汝きみの名を称よぶヿことの 最いとも甘やかなる憙よろこびよ 幾たびも口中に転がし味賞する 汝の名の馥郁たる香味 不意に竈神の息差し 愛あわれなる独り居に夜

操觚と視霊

干(かわ)いた浴室に白の咒文(じゆもん) 紋章術の教書にぞ覚(し)る ぬばたまの朝の街 ひとの死の甘美 紫色の美貌(かお) 霑(ぬ)れた鐘の鳴り響き 滅(き)えて徃(ゆ)く新しい日(ひび) たくさんのオシリス達 たくさんのイシュマエル達

【翻訳】「序」(ステンボック伯)

序(詩集『愛、眠り、梦』「エロメノスへ、或は喪れた愛に就ての痛歎の十年紀」より) ステンボック伯゠著 予(わたし)は磔(はりつけ)に為(さ)れた愛の幻を想(み)ました―― 釘(くぎう)たれた肢(あし)、釘たれた雙手(て)、而(そ)して心を、 予…